「ぼくは雨犬。やがてきみの影になる。」
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版画家の柳本史(やなぎもと ふみ)さんと、音楽家であり編集者でもある、想像家の外間隆史(そとま たかふみ)さんによる初の共作絵本。
十九歳のペンキ職人と十五歳の老犬「雨犬」による、つつましく穏やかな日々。
ふたりはいつも一緒で、共にレコードを聴きながらペンキ職人はコーヒーを飲み、雨犬は温かいミルクを飲む。夜眠る前、彼が詩を朗読するときには、雨犬はとなりでその声をじっと聞く。また、彼が書きものをしているときには、雨犬はなるべく彼に話しかけずに、静かにその様子を見守る。
ペンキ職人が雨犬に向ける眼差しがそうであるように、雨犬が彼に語りかける言葉もまたとても優しいのです。
モノクロ版画に混ざるレンガ色の風合いが絶妙で、その挿画を眺めているだけでも心が癒されます。
また、作中にはさまざまな文学や映画、音楽の断片が登場します。それらの作品をひとつずつ拾い集め、この本と一緒に楽しんでみるのも良いですね。
小さな街の小さな本屋で、老犬との好いご縁がありますように。
発行・未明編集室
著者・柳本史 外間隆史